ずんぐりした体と微妙に伸びてゾウのように動く鼻を持ったバクは、その外見から鼻の長いブタのように思えます。
バクは奇蹄目バク科に分類される哺乳類で、英語では「tapir」と呼ばれています。
バクはブタよりもサイなどに近い動物となります。
今回は、バクの種類や生息地、生態がよくわかる動画などをご紹介したいと思います。
現在5種類のバクが知られており、
インドネシア、タイ、マレーシアやミャンマーに生息するマレーバク、
メキシコ南部からグアテマラ、コスタリカ、エクアドル、コロンビアなどに生息するベアードバク(別名チュウベイバク)、
ブラジルやコロンビア、アルゼンチンに生息しているアメリカバク(別名ブラジルバク)、
コロンビアや、エクアドル、ペルーに生息しているヤマバク(別名アンデスバク)、などとなります。
このうち、マレーバクとベアードバクは比較的大型なバクで、アメリカバクやヤマバクはそれに比べると小さい種類となります。
バクは森林地帯などの池のほとりや湿地帯など水辺を好んで生息しています。
バクの体の大きさですが、体長は180~250cm程度、体重は230~350kg程度となります。
寿命は20~30年程度と言われています。
バクの身体的な特徴としては、聴覚と嗅覚は鋭いですが視覚はあまりよくありません。
水辺の近くを好んでいるので、水中にいることも好み泳ぎや潜水も得意で、天敵に襲われた時などは水中に逃げ込み、長時間水中に潜っている事ができます。
草食動物のバクは、草や木の葉、木の芽、果実、水草などを食べます。
バクの生態についてですが、バクは夜行性の傾向が強い動物で、昼間は水の中などでゆっくり休み、夕暮れから餌を食べに出かけます。
母子以外は基本的に単独行動で、尿や糞でマーキングし自分の縄張りを主張します。
バクの母親は、400日間程度の妊娠期間を経て、1回の出産で1頭の子どもを産みます。
生後1年程度は母親の授乳で育てられます。
子供のころはイノシシの子どものように毛皮に斑点模様や縞模様がありますが、成長するにつれて消えていきます。
生息域によって異なりますが、バクの天敵はトラやヒョウ、ジャガーなどのネコ科の肉食動物や、ワニなどとなります。
食用の肉を目的とした狩猟や森林開発による生息地の破壊などにより、バクの生息数は大幅に減少しており、現在は絶滅危惧種に指定されてしまっています。
1回の出産で1頭しか子どもを産まないということもあり、野生のバクの生息数の回復にはまだまだ時間がかかりそうなのが実情のようです。
ちなみにバクは夢を食べる動物という言い伝えが日本には広まっていますが、今回紹介した動物の「バク」と夢を食べる妖怪の「獏(バク)」とは別物です。
動物のバクは、その外見が中国や日本に伝わる伝説上の生物である「獏」に似ていることが名前の由来となっていますが、この妖怪の方の獏は「悪霊を払う」効果がある縁起物とされてきましたが、中国から日本に伝わった際に、この妖怪の「獏」を「悪夢を食べる」と誤って解釈されたと言われています。
その後、この妖怪の「獏(バク)」に似ている動物ということで「バク」と名付けられ、バクは人の夢を喰って生きる動物との誤解が世の中に広まっていったようです。
というわけで空想上の伝説の妖怪「獏」は、私たちが動物園で見る事ができるバクとは全く別物ということになりますが、名前の由来や夢を食べて生きるといった逸話に関連しているようです。
今回は、バクの生態や特徴がよくわかる動画をご紹介したいと思います。
ゾウのように器用に鼻を動かしている様子や葉っぱを食べている様子、水中を上手に泳いでいる様子、赤ちゃんさえも水の中に入って遊んでいる様子など、バクが水好きなのがよくわかる動画です。