茶色っぽい体に黒の不規則な斑点が特徴的なブチハイエナは、ハイエナ科ブチハイエナ属に分類される肉食の哺乳類で、英語では「spotted hyena」と言われます。
ハイエナというと、他の動物の獲物を横取りする卑怯者や泥棒といったような悪役のイメージや、サバンナの死肉をあさる掃除屋といったイメージで、一般的には嫌われ者のイメージかもしれません。
ですが、実はハイエナは非常に優秀なハンターで仲間思いの社会性の高い動物なのです。
本日はブチハイエナの生態や特徴、ペットとして飼育されているかわいいハイエナの赤ちゃんの動画などをご紹介したいと思います。
ブチハイエナの生息地は、サハラ砂漠以南のアフリカ大陸となり、サバンナや低木林地帯、湿地帯など様々な環境に生息しています。
ブチハイエナの大きさは、体長95~165cm、体重は40~85kg程度となり、メスの方がオスよりも体が大きくなります。
またブチハイエナの野生での寿命は25~35年程度、動物園などの飼育環境では40年以上とも言われています。
ブチハイエナの身体的な特徴としては、アゴの力が非常に強く獲物の骨までかみ砕いて食べてしまうことができます。
これはライオンやヒョウなど他の肉食動物にはできないことですが、骨さえも残らず食べてしまうことからサバンナの掃除屋とも言われる所以となっています。
また夜行性のブチハイエナは聴覚や嗅覚が鋭いだけでなく、視覚も発達しており暗闇の中でも獲物を探し出す事ができます。
さらに身体能力にも優れており、時速60km程の速さで走ることができ、かつ持久力にも優れているため数kmにわたって走り続けることができ、獲物を探して1日に30kmほども移動することが可能です。
夜行性のブチハイエナは主に夜間に狩りに出て、シマウマやイボイノシシ、ヌー、インパラなどの中型の哺乳動物を捕食しますが、鳥類や爬虫類、魚なども食べます。
ライオンやヒョウといった他の肉食動物が首元に噛みついて獲物を窒息させてから食べ始めるのとは異なり、捕らえた獲物のお尻やお腹を食いちぎり生きたまま食べ始めている様子がよく知られています。
ブチハイエナの生態ですが、クランと呼ばれる5~10頭前後の母系の群れで生活しており、多いと群れの数は40~50頭にもなります。
メスのリーダーを中心にして群れの序列もしっかりと決められており、群れで行動し狩りも群れで行うことが多くみられます。
ハイエナというとほかの動物の獲物を横取りする獲物泥棒のイメージが強いですが、ブチハイエナは強靭なスタミナと走るスピードを併せ持った優秀なハンターであり、実際は食べる物の6割以上は自分たちで狩りをした獲物です。
むしろライオンの方がブチハイエナより獲物の横取りをする事が多いのです。
また、たくさんの鳴き声を使い分けて仲間とコミュニケーションを取る事ができるのもブチハイエナの生態の特徴となっており、12種類もの鳴き声を持っていると言われ、様々なシチュエーションに応じてこの鳴き声を使い分けています。
メスのブチハイエナは、110日間程度の妊娠期間を経て巣穴の中で2、3頭の子供を産みます。
生まれたばかりの子供は黒っぽい体をしていますが、徐々にブチハイエナらしい斑点模様が現れてきます。
子育ては共同の保育場で群れの仲間で協力して行い、実の母親以外のメスが赤ちゃんに授乳することもあります。
このように群れの仲間で助け合いながら子育てをするので、ブチハイエナの子供の生後1年の生存率は60%以上にもなり、野生動物としては極めて高い生存率となっています。
またブチハイエナは、ケガをして傷を負った仲間に対しても餌を分け与えるなど、狩りに参加できないものも他の仲間同様に餌を得ることができます。
ブチハイエナの群れは非常に絆が強く仲間思いの社会を作っており、群れ全体での相互扶助のような仕組みが成り立っているのもブチハイエナの生態の大きな特徴といえるでしょう。
こうやって見てみると、ブチハイエナは非常に頭も良く仲間思いで狩りも得意、そして餌の横取りはハイエナよりもライオンの方が多いということを考えると、真のサバンナの王者はライオンでなくむしろブチハイエナではないかと思うのですが、
とはいえ外見的な要素や世間のイメージではまだまだハイエナは嫌われ者のイメージが強く、日本の動物園でブチハイエナを飼育、展示している動物園はあまり多くなく、
現在は栃木県の宇都宮動物園、静岡県の日本平動物園、大阪府の天王寺動物園などがブチハイエナを見れる動物園のようです。
今回は、ペットとして飼育されているブチハイエナの子供が餌のミルクをねだって激しく鳴いている様子の動画です。
大人になると肉食動物の怖い顔になるブチハイエナですが、ミルクをねだる子供の姿はなんだかかわいらしく、犬や猫など他のペットと変わらない感じがしますね。