歌を歌うクジラと言わているザトウクジラ。
日本の近海でもよく見られ、ザトウクジラのホエールウォッチングは人気のアクティビティとなっています。
ザトウクジラは、クジラ目ヒゲクジラ亜目ナガスクジラ科に属する海洋哺乳類で、英語では「Humpback Whale」と呼ばれています。
クジラの中では中型の大きさのザトウクジラですが、それでも15mもの大きさになります。
今回はそんなザトウクジラの生態や大きさ、名前の由来やザトウクジラの歌の動画などをご紹介したいと思います。
ザトウクジラは、熱帯から南極や北極周辺まで世界中の海に生息しており、日本近海にも生息しています。
ザトウクジラは回遊性の鯨なので、夏の間は北極や南極など高緯度地域で豊富な餌を取り、冬になるとハワイ、オーストラリアなど低緯度の温暖な地域の海に来て出産、繁殖、子育てをします。
日本の沖縄や小笠原諸島なども繁殖中のザトウクジラの親子に会えるホエールウォッチングのスポットとしても有名です。
ザトウクジラの大きさですが、オスの体長は13~14mほど、メスの体長は15~16mほどになり、体重は25~40トンもの大きさになります。
哺乳類では珍しく、メスの方がオスよりも大きな体をしているのが特徴です。
またザトウクジラの寿命は、45~70年程度にもなると言われている長寿の動物です。
ザトウクジラは、小さいオキアミやニシン、サケ、サバ、カラフトシシャモ、スケトウダラ、 タラ、イワシなどの群れで泳いでいる小型の魚を捕食しますが、
ザトウクジラの捕食方法として有名なのが、バブルネットフィーディングと呼ばれる狩りの方法です。
これは非常に計画的に群れの仲間で連携して行っている狩りなのですが、このバブルネットフィーディングは非常に知能的な捕食方法です。
ザトウクジラのメンバーにはそれぞれ役割があり、魚の群れを追い立て海面まで付近まで追い詰める役、パニックになった魚の群れの周りにバブルを吐いて魚の群れをバブルの壁で取り囲む役といったように役割分担されているのです。
そしてバブルの壁の中に閉じ込められた魚群の下からザトウクジラたちが大きな口を開け一斉に海面へ急浮上し、魚たちを丸飲みにしていくのです。
このザトウクジラのバブルネットフィーディングの捕食方法は、それぞれの個体が協調性を持ってかつタイミングを合わせて行動しないと効果がないものなので、この事からもザトウクジラの知能の高さがうかがい知れるかと思います。
ザトウクジラの生態ですが、地域ごとに20~30頭ぐらいの群れで行動しています。
ブリーチングと呼ばれる海面から空中に大きくジャンプをするのが特徴として挙げられますが、これは寄生虫を落とすため、繁殖期間中にオスがメスにアピールするため、と言われていますが実際のところまだはっきりとはわかっていないようです。
ザトウクジラは冬の温かい海で出産しますが、オスは子育てに参加せずメスのみが行います。
ザトウクジラのメスは、11~12か月程度の妊娠期間を経て、1年おきに1頭のみ子供を出産します。
生まれたばかりの子供は既に体長5~6m、体重1~1.5トン以上になり、生後半年ほどは母親の授乳で育ちます。
身体の大きな大人のザトウクジラには天敵はほとんどいませんが、子供のザトウクジラは時折シャチに襲われる事があります。
やはり海の生物たちの共通の天敵であるシャチにはザトウクジラの子供もかなわないようですね。
ですが、大人のザトウクジラは天敵であるシャチと戦っている様子が頻繁に確認されており、自分の子供を守るときだけでなく、コククジラなど他の種類の鯨やアザラシの子供などがシャチに襲われている際に集団でシャチの攻撃から防御している様子なども確認されています。
ザトウクジラは漢字で「座頭鯨」と書きますが、その名前の由来は、こぶをもったその姿が琵琶を担いだ座頭に似ているため、それが名前の由来になったと言われています。
英語でもその丸まった姿が名前の由来となっているようなのですが、同じ姿でも日本と海外で動物の名前の由来については様々な見方があって非常に面白いです。
またザトウクジラは歌を歌うクジラとしてもその生態の特徴が有名です。
他の鯨も求愛の時に声をだすこともありますが、ザトウクジラの歌はきちんと旋律を奏でた曲でかつ何曲も繰り返し歌うのです。
1曲あたり数分の歌を次から次へと繰り返し歌い、1時間以上も歌い続けるのです。
ザトウクジラが歌うのは冬の繁殖期に単独で行動している大人のオスだけに確認されていて、繁殖期に見られることからメスへの求愛の手段と考えられています。
今回は歌を歌っているザトウクジラの動画です。
何種類もの旋律を奏でて歌っているのがよくわかる動画で、ザトウクジラの知能の高さもわかります。
ちなみにクジラの歌声は非常にリラックス効果が高く、夜寝る前に聞くと穏やかに眠りにつけるようです。