およそ魚に見えないその神秘的な外見、泳ぐというよりはゆらゆらと海中を漂うような泳ぎ方、驚愕の繁殖方法など不思議な魅力を持つタツノオトシゴ。
最近では多くの水族館で展示され、観賞用のペットとしても飼育されるケースが多いようです。
タツノオトシゴは、トゲウオ目ヨウジウオ科タツノオトシゴ属に分類される魚類で、海馬(ウミウマ、カイバ)などとも呼ばれています。
その姿が伝説上の生物である竜に似ているため、日本では竜の落とし子(タツノオトシゴ)と名付けられましたが、英語ではseahorse(シーホース)と呼ばれています。
その姿が伝説の生き物である竜に似ているため、日本ではタツノオトシゴ(竜の落とし子)と呼ばれていますが、海外の人々にとっては、タツノオトシゴが直立して泳いでいる姿がまるで馬のよう、というのが由来となっているようです。
今回は、タツノオトシゴの生態や種類、オスが出産する驚きの動画などをご紹介したいと思います。
タツノオトシゴは、現在40種類以上が世界に存在しているといわれます。
大きさは種類によって異なり、全長1cm程度のものから30cmを超えるものまで様々ですが、タツノオトシゴの仲間は基本的に熱帯から温帯の比較的浅い海に生息しています。
天敵から身を隠すことができ、尾を絡められることができる海藻場やサンゴ礁がある場所を好み、周囲の景色にうまく擬態し捕食者から身を守ります。
日本にも8種類のタツノオトシゴが生息しており、一般的な竜の落とし子(タツノオトシゴ)の大きさは8~10cm程度ですが、日本に生息する種類の中で最大種となるオオウミウマは全長25~30cmにもなります。
野生のタツノオトシゴの寿命は1~5年程度です。
タツノオトシゴの身体的な特徴となるそのユニークな竜のような姿ですが、細長い尾は海藻やサンゴなどに巻き付けることによって、海流に流されていくのを防いでいます。
普段は動きがゆっくりなタツノオトシゴですが、肉食生物ですので捕食行動は非常に鋭く獰猛で、ものすごい速さで獲物を吸い込んでしまいます。
肉食のタツノオトシゴは魚の卵、小魚、甲殻類や動物プランクトンなどを捕食しますが、ストローのような口いっぱいになるような大きさの獲物も積極的に襲っていきます。
その姿かたちから一見ひょうきんなイメージを持つタツノオトシゴですが、獰猛な性格を持つ立派な肉食のハンターなのです。
ユーモアあふれる外見と違い、荒々しい性格をしているタツノオトシゴですが、実は魚界きってのイクメンでオスが子どもを産む唯一の動物でもあります。
タツノオトシゴのカップルは毎朝夫婦でダンスをして愛を深め、一生を添い遂げます。
オスが妊娠?オスが出産?という感じなのですが、
実際はオスのお腹にはカンガルーやコアラなどが持っているような育児嚢があり、卵が孵化するまでメスが産んだ卵をお腹の育児嚢で外敵から守ります。
オスの育児嚢で保護された卵はだいたい2~3週間ほど孵化し、稚魚となってオスのお腹から出てきます。
その姿がまるでオスが出産しているように見えるので、「タツノオトシゴはオスが出産する」と言われているのです。
ですので実際に卵を産むのはメスですが、オスも身を削って積極的に子育てに協力するイクメン魚なのです。
動物界には、トラやホッキョクグマなどのように、子育ては全てメスに任せっきりという動物が多い中で、献身的に子育てするタツノオトシゴは動物界のベストファーザーではないでしょうか。
タツノオトシゴはその外見が空想上の動物「竜」を想像されることから、日本では「竜の落し子」と呼ばれていて、「安産祈願のお守り」にされている地域もあります。
ですが、中国やアジア諸国では古来よりタツノオトシゴは滋養強壮や精力増強などの漢方薬として乱獲されています。
ほかにも水族館での展示やペットのための捕獲、エビのトロール漁による混獲、地球温暖化による生息環境の変化などによりその生息数を減らしてきてしまっています。
今回はタツノオトシゴのオスが妊娠、出産する動画をご紹介したいと思います。
大きく膨れたお腹からたくさんの赤ちゃんたちが外海に飛び出していく様子がよくわかる動画です。