立派なたてがみが強さの象徴にもなっているオスのライオン。
ヒョウやチーターやトラなど、ネコ科の肉食動物はオスとメスの外見的な違いはわかりずらいのですが、ライオンに限っては、たてがみはオスライオンのみに生えるので外見的にオスとメスを区別するのが容易となっている身体的な特徴です。
アフリカ大陸のサハラ砂漠以南に生息するアフリカライオンのオスは、大きいものでは体重250kgにもなり、ネコ科の動物の中では最大のトラにも匹敵する大きさになります。
ヒョウやチーターなど他の肉食動物が手出しできないバッファローやカバ、キリンさえも倒してしまうオスライオンはまさに食物連鎖の頂点に立ち、向かうところ敵なしの百獣の王と呼ぶにふさわしい猛獣です。
今回はそんな圧倒的な強さを誇るオスライオンの生態や一生、群れでの役割やノマドのオスライオン兄弟とのバトル動画などをご紹介したいと思います。
オスライオンは狩りに参加しないし子育てもせず全てメスライオン任せ。
自分はぐうたらと1日20時間以上も寝てばかりで食べるときだけは一番最初に腹いっぱい食べる。
オスのライオンはハーレムを作ってメスに食べさせてもらって、ただ交尾して子孫を残すだけ、究極のヒモ生活のようですが、実はオスのライオンにはオスの役割がありその一生は想像を絶するほどハードです。
プライドと呼ばれる群れで生活するライオンは、1,2頭のリーダーのオスと5~10頭程度のメスライオンとその子供たちからなり、広い縄張りを持って生活しています。
狩りをするのは通常メスライオンたちの役割なので、オスライオンは狩りにも参加せず普段は何もしないことがほとんどですが、縄張りをパトロールしたり、自分の群れの安全を脅かすハイエナなどの肉食動物やプライドの乗っ取りを企てる若いノマド(放浪)のオスライオンたちに対して常に警戒し、時に激しく戦い自分とプライドを守ります。
ノマドのオスライオンに負け自分のプライドを乗っ取られてしまったら、新しいリーダーとなる若いオスライオンに自分の子供たちをすべて子殺しされ、自分も放浪の身となりやがて飢えて最後を迎えることになるので、まさに命がけの戦いです。
プライドのオスライオンはまさに家族の用心棒としての役割を果たしているのです。
新しく生まれた赤ちゃんライオンは、ハイエナやジャッカルなど他の肉食動物に殺されたり、ハゲワシやヘビなどに捕食されるなど、また食料が不足する時期は子供ライオンまで食べ物が行き渡らず餓死するなどで、生後1年以内に50%の子供が死亡してしまい、生後2年での生存率に至っては20%と非常に厳しいものとなっています。
運よく無事に生き残っても、メスの子供はプライドに居続けられますが、オスの子供は2~3歳になった頃に群れを追い出されてしまいます。
追い出されてしまったオスライオンの子供は兄弟たちと放浪(ノマド)生活をしながら協力して狩りをして食べつなぎ、将来自分のプライドを持つことを目標に力を蓄えるべく武者修行を続けていくのです。
こうしてオスライオンは5~6歳くらいになり十分な力がつくと、自分のプライドを勝ち取るためにプライドのオスに戦いを挑みます。
プライドのリーダーの座をかけた戦いは当然激しいものとなり、戦いで命を落とすものや戦いの傷が原因で狩りができずその一生を終えていくライオンもいます。
幸いにプライドの乗っ取りに成功し自分のハーレムを作れても、先に述べたようにハイエナなど外敵や新しい挑戦者となるオスライオンとの戦いの日々があり、オスライオンがプライドでハーレムを築ける全盛期間は3~4年程度です。
子供を持ったメスライオンは2年間は発情しないため、オスライオンはすぐに自分の遺伝子を残せるよう、メスを発情させるために前のオスライオンの子供たちをすべて子殺ししてしまうのです。
こうしてみると一見ぐうたらなヒモ生活に見えるオスライオンの一生はかなりハードです。
最強捕食者でありながらオスライオン同士では猛烈な競争社会を生き抜かなくてはなりません。
歳月を経て別の若いオスライオンにプライドをかけた戦いを挑まれ敗れ去った年老いたオスライオンは、再度孤独なノマド生活を強いられ、傷つき疲れ果て、飢えて孤独にその最後の時を迎えていくのです。
今回は、そんなメスライオンとテリトリーを保持するライオンキングと群れの乗っ取りを企てる2頭のノマドライオンとのバトル動画をご紹介します。
今後数年間は繰り返されると思われる、オスライオン同士の迫力ある戦いの様子をご覧ください。