海洋生物の食物連鎖の最上位に位置するホオジロザメ、映画『ジョーズ』のモデルにもなったホオジロザメは、恐らくサメの中では一番有名な種だと思います。
この映画の大ヒットにより「ホオジロザメ=人食いザメ」というイメージが世界中に広がっていったと思います。
顔のほほの部分が白いことから名づけられ、ホホジロザメとも呼ばれ、英語ではGreat white sharkという名前が付けられています。
ホオジロザメの生息地は亜熱帯~亜寒帯のほぼ世界中のどの海にも生息しています。
基本的に沿岸部の比較的浅い海域に生息していますが、これは餌となるアザラシやオットセイが多いエリアを活動地域としているからです。
よくサーファーが襲われたというニュースに出てくる、アメリカのカリフォルニア州沿岸、オーストラリアのゴールドコースト沿岸、南アフリカのケープタウン沖の海域などがホオジロザメに襲われた人間の死亡事故をよく耳にするメジャーな生息地です。
また日本近海にも生息しており、北海道から沖縄までの日本の沿岸部で目撃されています。
実際、日本でもホオジロザメによる数件の死亡例があります。
ホオジロザメの体長は4~5m、体重600-1,100kg程度でサメの中ではジンベイザメ、ウバザメに次ぐ大型のサメとなります。
最大で体長8~11mの目撃情報もありますが、不確定な情報のためホオジロザメの最大の大きさについてはまだ多方面で議論されています。
ホオジロザメはアザラシやオットセイ、イルカなどを主に捕食し、一度の食事量は自分の体重の30%程度も食べる事もあります。
ほかにもウミガメや海鳥など、口に入るものはなんでも食べてしまうまさに「凶暴な海の殺し屋」です。
ホオジロザメは高い運動能力を持ち、瞬間的には時速25~35㎞程度のかなりのスピードで泳ぐことができます。
ですが、クジラや他の魚と比べるとそこまで速いスピードで泳ぐわけではないので、獲物をとらえる時は奇襲攻撃をかけることが多くなります。
ホオジロザメの狩りの方法は、海面近くを泳ぐアザラシやオットセイの下から忍び寄って、そこから急突進をかけてのこぎりのような鋭い歯を持った大きな口で噛みつきます。
その勢いでそのまま海面から飛び出してしますのですが、体長6mもあるホオジロザメの巨体のジャンプはまさに圧巻です。
海洋の食物連鎖の最上位に位置し、これだけ巨体で凶暴なホオジロザメには自然界に天敵はいないように思えますが、ホオジロザメを襲うさらなる捕食者がいます。
それは海洋生物の王者、シャチです。
シャチはホオジロザメよりも体格、知能、また攻撃力やスピードといずれにも勝り、またシャチは群れでチームワークよく獲物を襲います。
ホオジロザメをシャチと比べるのは少しかわいそうな気もしますが、それでもホオジロザメは危険な生物に変わりなく、いずれにせよ「魚類の頂点」に立つ捕食者です。
南アフリカ、ケープタウン沖のシール島(seal island)に暮らす1万頭以上のミナミアフリカオットセイを襲うホオジロザメの動画はまさに圧巻です。
ミナミアフリカオットセイたちが海を泳いでいるとそれを追う捕食者の不気味な影、そう彼らを狙うホオジロザメです。
さらにサメのおこぼれを狙うカモメたちも集まってくる始末。
海をジグザクに跳ね陸に急いで逃げるミナミアフリカオットセイたち、オットセイの下から忍び寄り襲い掛かるホオジロザメ。
海面から空中に大きく跳ね上がるホオジロザメ、のこぎりのような鋭いとがった歯を持ったその巨大な口には捉えたオットセイをしっかり咥えています。
大海原で繰り広げられている、弱肉強食の世界の迫力ある捕食動画です。