日本では昔、地震が起こるのはナマズが暴れるからだと言われてきました。
また一説にはナマズは地震の予知ができるとも日本で信じられてきました。
最近では、日本の在来種を食い荒らす外来種としてテレビ番組でも駆除の対象となっているナマズですが、日本に生息する外来種のナマズもせいぜい1mくらいの大きさです。
一方、世界に目を向けると人食い伝説を持つ、日本のナマズとは比べ物にならないほどの巨大ナマズがいて、生息するヨーロッパでは最大級の淡水魚です。
「子供が飲み込まれた」、「ナマズの腹を切ったら人間が出てきた」など、人食い伝説を裏付けるような話が農村部などで代々語り継がれる逸話として残っています。
今回は、そんな人喰いの伝説と共に語り継がれるヨーロッパオオナマズの生態や特徴、陸上の鳩を捕食する狩りの動画などをご紹介したいと思います。
ヨーロッパオオナマズは、ナマズ目ナマズ科ナマズ属に分類される魚類で、英語では「Wels catfish」や「European catfish」と呼ばれています。
世界には全部で100種類ほどのナマズが存在しているようです。
ヨーロッパオオナマズの生息地は、ヨーロッパ中央部、ギリシャやイタリアなどのヨーロッパ南部、スペインなど西ヨーロッパやバルト海、カスピ海周辺となります。
淡水域から汽水域に生息していて、暖かい大きな湖や深くて流れの遅い川を好みます。
日本の川や沼、湖で見られるナマズは大きくても1m程度ですが、このヨーロッパ最大級の淡水魚はスケールが違います。
通常のヨーロッパオオナマズの体長は1.3m~1.6m程度、体重は15kg~20kg程度といったところですが、イタリアやギリシャなどヨーロッパ南部に生息する個体は、最大で体長4m、体重は400kgにもなります。
これは人間が釣りや食用の養殖用として人為的に持ち込んだものが野生化したため、エサが豊富で天敵がいないといったヨーロッパオオナマズにとって良好な生息環境に恵まれたため、大きな個体となる傾向があるようです。
またヨーロッパオオナマズの寿命は、野生では30年以上、飼育環境では60年にもなるようです。
日本のナマズ同様、ヨーロッパオオナマズも口に入るものは何でも食べます。
主なエサは、ミミズやヒルなどの環形動物、昆虫、甲殻類、魚、カエル、ネズミなどの小型哺乳類などですが、アヒルやカモのヒナなどの鳥類のほか、鳩さえも丸呑みしてしまいます。
まさに自然界の暴君です。
普通、魚は座礁する危険を冒してまで陸上の生物を襲わないものですが、パタゴニアのシャチのように座礁のリスクを冒して水辺に近づいたハトを襲って水中に引き込む様子は、まるでワニの狩りのようでもあります。
ヨーロッパオオナマズの生態としては、日本のナマズとあまり変わりなく基本的には夜行性で昼間は岩陰や水草の茂みなどでゆっくりしていることが多いようです。
口ひげは感覚器として発達しており、口ヒゲで獲物を感じ取り捕食します。
ヨーロッパオオナマズは、1回の出産で30~60万個近くも卵を産み、数日で卵は孵化します。
体の大きな大人のヨーロッパナマズには、淡水の生態系ではほとんど天敵がおらず食物連鎖の上位に位置していますが、稚魚の時はよその大人のナマズに食べられるなど共食いも起こります。
ワニやホッキョクグマなど、生態系の上位捕食者は大人になれば自然界に天敵もいないほどの最強捕食者ですが、未熟な子どもの頃は同じ仲間のよその大人に食べられる共食いによって命を落とすことも多いのかもしれませんね。
ちなみにヨーロッパオオナマズの卵には毒があり、人間も食べることはできません。
ヨーロッパナマズの成魚は食べることができるようですが、15kg以上の個体になると脂肪が多すぎて美味しくないようです。
幼魚はソテーやフライにすると美味のようです。
古来より人食いの伝説が語り継がれるヨーロッパオオナマズですが、巨大な個体は実際に人間を襲うことも稀にあるようで、アニマルプラネットでもこの人喰い怪魚伝説を追った番組が放送されていました。
人間を襲う恐ろしいヨーロッパオオナマズですが、日本でも池や川での発見報告が何件かあるようで、これはペットとして飼育されていた個体が放流され住み着いたもののようです。
人間をも襲うことさえある巨大魚ですから、日本の元来の生態系を大きく破壊してしまう危惧もある外来種として、日本では2016年にヨーロッパオオナマズを特定外来生物に指定されています。
今回はヨーロッパオオナマズが水浴びしている鳩を捕食する動画をご紹介したいと思います。
南西ヨーロッパで爆発的に生息数を増やしたヨーロッパオオナマズですが、体のより大きな巨大ナマズにいい餌場を取られて食料不足に陥った中型のナマズが、栄養満点のハトを捕まえるために新しく考案した狩りの手法で、スペインやフランス、イタリアなどでこの恐ろしい鳩狩りの様子が見られるようです。
まさにハトにとっては命がけの水浴びです!