モモンガと同じように空飛ぶ珍しい哺乳動物のムササビ。
ムササビは東京の高尾山などでも見られるため、日本でもなじみの動物かと思います。
ムササビは齧歯目リス科ムササビ属に分類される哺乳類で、国内に生息するリス科の動物としては最も大型の動物になります。
ムササビは漢字で「鼯鼠」と表記されモモンガと同じ漢字表記ですが、これは昔から姿かたちがよく似ているムササビとモモンガが混同されてきたためです。
今回はムササビが飛ぶ動画や生態、生息地のほか、よく間違われる親戚のモモンガとの違いなどもご紹介したいと思います。
ムササビの仲間はインドから東南アジアの各国、中国、朝鮮半島のほか、フィンランドからロシアにかけて、そして北アメリカ大陸からメキシコ、ホンジュラスなど中米にかけてと、様々な種類のムササビが世界広く分布して生息しています。
日本にも本州、四国、九州の山地や平野部の森林や林、そして民家に至るまで、ホオジロムササビというムササビが生息しており、このムササビは日本の固有種となっています。
日本に生息するムササビの大きさは、体長25~50cmほど、体重が700~1,500gほど、そして自分の体と同じくらいの長さのしっぽを持っています。
日本に生息するリスの中では最も大きく、小さなイエネコほどの大きさになります。
ムササビは飼育環境では15年程度生きると言われていますが、天敵などにより死亡率が高くなる野生環境では5~10年程度になるようです。
ムササビの身体的な特徴として、長い前足と後ろ足の間に飛膜と呼ばれる膜を持ち、飛膜を広げグライダーのように滑空することができます。
普通1回の飛行は15~30mほどですが、長いときは風にのって100~200mもの距離を滑空することができるようです。
滑空時には、長いしっぽでうまくバランスを取り、空中で向きを変えたり飛ぶスピードなどもコントロールできるというから驚きです。
また、夜行性のムササビは暗闇でも食べ物の臭いを簡単に嗅ぎつけるほど優れた嗅覚も持っています。
ムササビの食べ物ですが、果実、木の実、木の葉、樹液や種子、木の芽、花、昆虫などを幅広く食べています。
基本的にいつも木の上で生活していますので、食事のために地上に降りてくるという事もありません。
ムササビの生態として、普段は単独で行動し、あたりが薄暗くなった頃から活動する夜行性の動物です。
木の幹や人家の屋根裏などに巣を作り、メスは75日間程度の妊娠期間を経て通常1,2匹の子どもを出産します。
メスは子どもたちが独立していくまで育児をしますが、オスは子育てには参加しません。
ムササビの子どもはだいたい2ヶ月ほどで大人と同じくらいの大きさにまで成長し、生後3カ月もたつと親と同じように滑空できるようになります。
ムササビの天敵としては、アライグマやテン、コヨーテ、ボブキャットなでの肉食の哺乳類のほか、フクロウやタカなどの猛禽類、ヘビなどが天敵となります。
日本では昔からムササビの毛皮は大変貴重なものと珍重されてきて、毛皮は保湿性に優れた防寒具として高値で取引されてきました。
現在は鳥獣保護法によって保護されているため、ムササビを捕獲することはできませんし、もちろんペットとして飼育することも禁止されています。
日本にはムササビ同様、飛ぶリスであるモモンガも生息しており、外見もムササビとよく似ています。
古くからムササビとモモンガはよく間違われてきましたが、ムササビとモモンガの違いとしては、
●ムササビはモモンガに比べ体が大きいこと(モモンガは体長14~20cm程度で手のひらサイズ)
●モモンガのほっぺにはムササビに見られる白い模様がないこと
●鳴き声が違うこと(ムササビが「グルルルルー」と大きな声で鳴くのに対して、モモンガは「ズイズイズイ」という声で鳴く)
などが挙げられます。
ちなみにモモンガはムササビと異なり、ペットとして飼育することができるようです。
今回はムササビが空を飛ぶ滑空動画をご紹介したいと思います。
時には餌を探し回るため、時にはアライグマやボブキャットといった天敵から逃れるため、木から木へと自由自在に森の中を滑空するムササビの様子がよくわかる動画です。