まるでゾウのような鼻を持つことがその名前の由来となっているゾウアザラシ。
アザラシの仲間の中では最大の大きさとなるゾウアザラシは、ネコ目アザラシ科に属する海洋哺乳類で、英語では「elephant seal」と呼ばれます。
今回は見た目も気性も荒くて怖いゾウアザラシの生態や大きさ、ハーレムをめぐるオス同士の血みどろのバトル動画などをご紹介したいと思います。
ゾウアザラシにはキタゾウアザラシとミナミゾウアザラシの2種類が存在しており、
北アメリカ大陸西岸付近の海洋、沿岸に生息するのがキタゾウアザラシ、
南極から南米、アフリカ、オーストラリアの南極海域に生息するのがミナミゾウアザラシとなり、ミナミゾウアザラシの方がキタゾウアザラシよりも大きい体をしています。
アザラシ科の仲間で最大となるミナミゾウアザラシの大きさですが、
オスの体長は6~7mほど、体重は4~5トンにもなります。
一方メスの体長は2.5~3m、体重は500~900kg程度と、オスとメスとで非常に大きな体格差があります。
野生のゾウアザラシの寿命については、キタゾウアザラシの寿命は10年ほどですが、より体の大きいミナミゾウアザラシの寿命は20年にもなります。
超ヘビー級のその巨体であるがゆえに、陸上でのゾウアザラシの移動はあまり俊敏でないため、どんくさいデブのイメージを持つかもしれませんが、水中でのゾウアザラシの身体能力は非常に高く、水深1500mもの深さまで潜水ができ、かつ120分もの間水中に潜っていることが可能です。
もちろん陸上でののそのそした感じはなく、海中を華麗に泳ぎ周りエサとなる獲物を次々と捕えていきます。
ゾウアザラシは肉食なので、サメなどの大きな魚やイカ、タコなどを食べます。
ゾウアザラシの生態ですが、普段は海洋で生活していますが繁殖期になると陸に上がり、オスたちは縄張りのリーダーをめぐって激しい戦いをします。
この戦いに勝ってリーダーとなった1頭のオスのみが巨大なハーレムの主となり、多くのメスと交尾する権利を持てるのでオスたちはまさに命がけで戦うのです。
オス同士頭をバチバチぶつけ合い、双方血まみれで噛みつき合う手加減なしの生々しい決闘で、この戦いで死んでしまうこともよくあります。
ゾウアザラシのオス同士の怖いマジ喧嘩です。
動物界全体でもゾウアザラシのオスほど激しい決闘をする動物はなかなかいないでしょう。
ですが、戦いに勝利したオスは数十~100頭ものメスのハーレムを手に入れ、自分の遺伝子をたくさん残せていくことができます。
オス1頭に対してメスが100頭ってものすごいハーレムで、まるで江戸時代の大奥のようです。
ハーレムのリーダーのオスは、1回の繁殖期に40頭ものメスを妊娠させることができるほど絶倫です。
まさに強いオスだけが子孫を残すことができる弱肉強食の世界です。
ですが、戦いに敗れて自分の縄張りを持てなかったゾウアザラシの「あぶれオス」は、ハーレムの周りに居座って隙あらばメスを横取りしようと虎視眈々と狙っており、戦いに勝ったオスも日々縄張りのパトロールが欠かせません。
こうして妊娠したメスのゾウアザラシは、11カ月程度の妊娠期間を経て1回の出産で1頭の赤ちゃんを産みます。
メスは飲まず食わずで1カ月ほど赤ちゃんに授乳で子育てし、その後子供は独り立ちしていきます。
大人のミナミゾウアザラシはその大きさからサメなども襲わないため、自然界では天敵となる存在はほぼいませんが、
子供のミナミゾウアザラシはホホジロザメやシャチなどが天敵となるようです。
日本の水族館でこの巨大なゾウアザラシが見れないのかと少し調べてみたところ、
ミナミゾウアザラシは、以前は江ノ島水族館や伊勢夫婦岩ふれあい水族館で飼育されていたようですが、現在日本でミナミゾウアザラシを展示している水族館はないようです。
キタゾウアザラシについては、山形県の鶴岡市立加茂水族館で飼育、展示されているようです。
今回はイギリス領サウスジョージア島で撮影されたオスのゾウアザラシ同士のハーレムをかけたバトル動画をご紹介します。
頭を激しくぶつけ合い、噛みつきあい妥協なしのマジ怖いガチンコバトルです。