トドは食肉目アシカ科トド属に分類される大きな海洋哺乳類で、英語ではSteller sea lionと呼ばれます。
日本の北海道周辺にも古くから生息する日本人にもなじみのある野生動物で、魚を食い荒らし漁業被害を引き起こす「有害害獣」として駆除(いわゆるトド撃ち)されている様子がテレビでも放送されていたので、年配の方などにはよりなじみが深い動物だと思います。
トドの生態としては、生息地は北太平洋沿岸域となり、アメリカのカリフォルニア州の中部からベーリング海、千島列島、ロシアのアリューシャン列島、カムチャツカ半島に生息しており、北海道沿岸の日本海側や根室海峡周辺にも回遊してきます。
中でも弁天島や礼文島は北海道のトドの生息地として有名です。
トドはアシカ科(アシカ、オタリア、オットセイなど)のなかでは最大の種類となります。
オスは体長3~3.4m、体重900~1000Kgで、メスは体長2.3~3m、体重300~550Kgほどで、オスの方がメスより大きな体をしています。
似たような動物のセイウチがよくトドと間違われるようですが、セイウチはセイウチ科セイウチ属となりセイウチのみがセイウチ科となります。
トドももセイウチも大きな体をしておりますが、セイウチのオスは体長270~360cm、体重1000~1200kgと、大きな体のトドよりさらに巨大な体をしています。
また外見的な特徴しては、大人のセイウチは大きな牙が生えている事もトドとの違いがわかりやすい身体的な特徴と言えるでしょう。
トドの寿命は20~30年に対して、セイウチは30~40年ほどなりセイウチの方がトドより長寿となります。
トドもセイウチもオスの方がメスより寿命が短い傾向がありますが、ハーレムをめぐり他のオスとの闘いなどで傷を負い命を落とすことも少なくない事が影響しているようです。
肉食のトドは、シシャモ、スケトウダラ、サケ、ホッケなどの魚や、イカ、タコなどの魚介類を食べます。
トドの生態の特徴として、セイウチ、オットセイ、ミナミゾウアザラシのように1頭のオスが数十頭のメスとその子供たちからなる巨大な群れ(ハーレム)を形成しています。
リーダーとなれたオスは群れのメス全てと交尾する権利を持ったまさに「ハーレム状態」ですが、次のリーダーの座を狙うオスたちの脅威に常にされされている状況でもあります。
もともと臆病な性格のトドですが、海洋資源である魚の減少や漁業道具への慣れなどにより、漁師の網にかかった魚を食べるトドの個体の数が増えてしまい北海道の漁業に深刻な被害を与えていました。
オットセイ、アシカなどの海洋哺乳類は魚を主食とする事が多いのですが、漁師さんが仕掛けた網にかかった魚を食い荒らすトドも大きな被害を与える害獣として駆除の対象とされてしまいました。
しかも有害鳥獣の駆除としてなんと自衛隊まで出動してのトドの駆除なども行われた事もあり、トドの生息地の漁師たちが行うトドの駆除(トド撃ち)もいわば毎年の風物詩となりました。
そういった乱獲などで大きく生息数を減らしたトドは絶滅危惧種に指定され、アメリカやロシアでは保護の対象となっており日本が行っている駆除に対して非難をしていますが、日本では今でも1年あたりの駆除頭数を設けてトドの駆除を続けています。
体の大きいトドは自然界にはあまり天敵はいませんが、シャチに捕食される事があるようです。
いくら体の大きいトドといえども、ホッキョクグマさえも捕食してしまうシャチが相手となれば、トド(セイウチも)もさすがにかなわないようです。
今回はカナダのバンクーバー沖の海中で、野生のトドと遭遇したダイバーのYoutube動画です。
臆病な性格のトドですが、ダイバーに寄ってくるところなんか好奇心旺盛で、トドの性格は年齢や個体差などの違いも大きいようですね。