ラクダはウシ目ラクダ科ラクダ属に分類される動物ですが、ほぼ家畜として飼育されており野生のラクダはわずかしか存在しておりません。
ラクダはおとなしく人になつきやすい性格なので、古くから人間に家畜として飼育され、食用や移動用の乗り物として重用されてきました。
実際、東洋と西洋の交易の要所となったシルクロードのオアシスルートも、暑さや乾燥に強いラクダがいたからこそ開拓できたルートであり、ラクダを使用したキャラバンにより東洋と西洋の交易や文化交流がなされてきました。
ラクダの特徴として背中の大きなコブが挙げられますが、現在ラクダにはこぶがひとつのヒトコブラクダと、こぶがふたつあるフタコブラクダの2種類が現存していて、それぞれの生息地は、
ヒトコブラクダは西アジア原産で、インドからイランやアラビア半島などの中東諸国、ソマリアやエチオピアなどアフリカ大陸にかけて生息しており、
フタコブラクダは中央アジア原産で、トルコやイランからモンゴルにかけて生息しています。
どちらも砂漠地帯や乾燥したステップ地帯といった乾燥したエリアに生息している、暑さや乾燥に強い動物であるというのが生態の特徴となっています。
人間の乗り物としても頻繁に使用されるラクダの大きさは、体長1.8~3.4m、体重360~690kg、立ち上がった高さは2mにもなるほどの大きさとなります。
その大きな体をもってして移動手段として、また時には食用として古くから砂漠の民に重用され、また人類の砂漠地帯への進出に貢献してきました。
野生のラクダの寿命は25~30年程度ですが、飼育環境では40~50年もの長寿となります。
ラクダの特徴として、英語名にもなっているキャメル色の体色、長い首、大きなコブ、細くて長い足が挙げられます。
特に大きなこぶについては、暑さや乾燥に強いラクダのこぶには水が入っているのではないかと長年考えられてきましたが、これは誤りであり実際はエネルギーとなる脂肪が入っていて、このこぶはエネルギーを蓄えるだけでなく砂漠の暑さから体を守る断熱材としてラクダの体温が強烈な日差しによって高くなりすぎるのを防ぐ役割もあります。
またラクダは数日間も水を飲まないで活動できますが、水を摂取するときは一度に80~130リットルもの水を一度に摂取することが可能です。
これは胃の中やこぶに水を蓄えるのではなく、血液中に大量の水分を吸収することによってたくさんの水を含んだ血液を循環させ、乾燥への耐性を保つという生態的な特徴があります。
さらにラクダの足も砂漠の乾燥した環境に適応できるように進化させてきた動物ですが、その反面湿地帯を移動できるような足の構造をしておらず、湿地帯では足を傷めてしまいます。
草食動物であるラクダの食べ物は、草や木の葉などですが、食べ物が少ない砂漠ではトゲのあるサボテンもケガをしないよううまく食べてしまいます。
ラクダ科の祖先はもともと北アメリカ大陸にに存在しており、200万年から300万年前に陸続きになっていたベーリング海峡を通ってユーラシア大陸へと移動し、現在のラクダに進化しました。
その後北アメリカ大陸のラクダは絶滅しましたが、パナマ地峡を通って南アメリカ大陸へと移動したラクダのグループは生き残り、現在南米にはラマやアルパカ、ビクーニャ、グアナコの4種類のラクダの仲間が生き残っていて、食用のほか険しい山岳地帯での荷物の運搬や人間の乗用として飼育されています。
遥か大昔から人間に家畜として飼育されてきたラクダですが、日本にラクダが初めてきたのも599年の飛鳥時代とかなり昔になります。
その後、江戸時代の1821年にオランダ人によってラクダが日本に輸入されましたが、ラクダを使った見世物は日本中でフィーバーとなり、江戸では巨大で鈍間(のろま)なものを「らくだ」と呼ぶことが流行るほど江戸の町ではラクダがトレンドとなっていました。
また中東の湾岸諸国では、ヒトコブラクダのレースである競駝(けいだ)が昔から盛んに行われていますが、それらの国々にとってはラクダレースは最も格の高いスポーツとなっています。
アラブ首長国連邦、サウジアラビア、カタールなどでは王族や首長一族なども頻繁に観覧に訪れています。
おとなしく従順な性格のラクダですが、レースの時ばかりは闘志をみなぎらせ攻撃的な性格にさせるのでしょうか。
今回の動画は、サウジアラビアのリヤドで行われたラクダレースの動画です。
日本の競馬のようにきちんと整備されたレース場ではないようですが、王族らしき方たちも観覧しラクダレースの格式の高さがうかがえる動画となっています。