人間に最も近い動物といわれている類人猿、ボノボ。
ボノボは、ヒト科チンパンジー属に分類される霊長類で、英語では「bonobo」と呼ばれています。
よその群れの集団との抗争や、レイプ、子殺しなども行う好戦的、暴力的なチンパンジーと近縁種で、以前はピグミーチンパンジーと呼ばれていましたが、ボノボは仲間はもちろん、他の群れのボノボとも争うことはない平和主義が特徴のサルです。
ボノボの生息地は、アフリカ大陸中央のコンゴ民主共和国のコンゴ川の左岸に生息しています。
同じ類人猿のチンパンジーやゴリラはコンゴ川の右岸に生息していて、コンゴ川を隔てて異なる進化を経てきました。
ボノボの大きさは、体長はオスが75~83cm、メスが70~75cm程度となり、体重はオスが40kg、メスが30kg程度となり、オスの方が若干メスより大きい身体をしています。
ボノボの体格はチンパンジーより小さいですが、チンパンジーよりも直立2足歩行が多く見られるのが特徴で、数十メートルを直立2足歩行することもあります。
ボノボの寿命は40年ほどと長寿となり、赤ちゃんの時のか細い期間が長く授乳は4年間にも及びます。
最近の研究で生後10年ほどで思春期を迎えることもわかってきています。
雑食性のボノボの食事は植物の葉、果実などがほとんどですが、その他昆虫や小型爬虫類、小動物なども食べますが、チンパンジーほど積極的に食べるわけではありません。
ボノボの生態は、10~15頭程度の父系の群れを作って暮らしていますが、時には50~120頭もの集団になることもあります。
よその群れのボノボと合流したり離散したりも非常に柔軟に行われています。
昼行性のボノボは、日中は地上で生活することが多くナックルウォーク(4足歩行)で移動し、夜は木の上に毎日違う場所に寝床を作って休みます。
ボノボの特徴としてはなんといってもその知能の高さですが、それ以外でも多くの性行動で個体間のコミュニーケーションを取り、争い事を性交渉で回避する事も大きな特徴です。
セックスが個体間の緊張関係を緩和し、親密な社会関係を築くための潤滑油として機能しています。
チンパンジーの社会では、ボスへの挨拶、服従、多数派戦略、暴力などによって解決するような問題を、ボノボの社会ではすぐセックスが行なわれ問題が解決するわけです。
出会った途端の挨拶がわりのセックスなどは日常茶飯に行われています。
繁殖行動以外で交尾をするのはまさに人間と同様ですが、なんとボノボは顔を向い合せた正常位や、後背位(バック)など、様々な体位で性交渉を行います。
人間以外で正常位でセックスする動物はボノボのほかにいません。
しかも オスとメスでのセックスだけではなく、オスとオスやメスとメスなど同性間、また年の離れたオスとメスの間でもお互いの性器を触りあったりなどの疑似行為が頻繁に行われ、子どもも疑似行為の真似をする姿が多くみられます。
このようにボノボはセックスを通して穏やかな社会を形成して、決してボノボ同士での殺し合いはしない平和主義な生態のサルと言われています。
知能の高さが生態的な特徴と知られているボノボですが、言葉を使うサルをして頻繁にメディアに取り上げられた「カンジ」は世界で最も有名なボノボと言えるでしょう。
このカンジは、人間の言葉を理解できるほか、木を集めて焚火を起こして焼きマシュマロを作る様子、パックマンのルールを覚えてゲームをするといった様子の動画もアップされています。
特にパックマンのケースは、敵にぶつかると死んでしまうという基本的なルールだけでなく、アイテムを取って無敵状態になると敵を倒し高得点に繋がる、といった複雑な要素も理解したうえでゲームをプレイしていたというから驚きです。
今回はその知能の高い「カンジ君」の動画を含め、人間くさい振る舞いに思わず笑ってしまうシーンも多い、社会性の高いボノボの生態の様子などを紹介した動画です。