つぶらでまん丸な目をし、後ろ足でちょこっと立っている姿がかわいい動物のビーバー。
そのダム作りで有名なビーバーは、齧歯目ビーバー科に分類される哺乳動物です。
その外見から以前はジリスの仲間だと思われていましたが、現在では遺伝子の研究によってネズミに近いことがわかっています。
今回は、生息地のひとつであるカナダでは国獣にも指定されているビーバーのダム建設の様子や生態、種類や特徴などをご紹介したいと思います。
ビーバーには2種類おり、
アメリカ合衆国やカナダなど、北アメリカ大陸に生息するアメリカビーバーと、
北欧や東欧からアジアにわたって生息しているヨーロッパビーバーの2種類となります。
アメリカビーバー、ヨーロッパビーバー共に森林地帯付近の河川や湖などがある湿原に生息しています。
アメリカビーバーの大きさは、体長は74~90cm、しっぽの長さは20~35cm、体重は13~32kgほどとなり、ヨーロッパビーバーはそれよりやや大きな体をしています。
体の大きな動物であるビーバーは、カピバラに次いで世界で二番目に大きな齧歯目となります。
またビーバーの寿命は、野生では15~20年ほど、動物園などの飼育環境では20~25年くらいと言われています。
ビーバーの身体の特徴として水中生活に適応した機能を持っており、よく水をはじく毛皮、水をこぐ大きなオールのような平たいしっぽ、冷たい水から体温を保つ分厚い脂肪などが特徴として挙げられます。
また潜水も得意で、最大で15分間も水の中に潜っていることができると言われています。
さらに、ビーバーは大きくで頑丈な歯を持っており、直径15cmほどの木でもわずか10分程度で切り倒してしまいます。
ビーバーの生態として特徴となっているダム建設の際も大活躍するこのビーバーの丈夫な歯は、ビーバーの最大の身体的な特徴とも言えるかもしれませんね。
草食動物のビーバーの食べ物は、木の皮や葉、根、草などを食べます。
夏の間に切り倒した木の枝などを冬の間の保存食として池の底に沈めておく習性があるとも言われています。
ビーバーの生態ですが、ビーバーは1匹のオスとメス、その子供たちからなる一夫一婦制の家族で暮らしています。
流れを堰き止めた川や池の真ん中に、ドーム状の巣を作って生活します。
このビーバーの巣は木の枝や泥で作られるのですが、非常に頑丈で何世代にもわたって使用されている巣もあります。
ビーバーの巣は水面より高い位置にあるのですが、巣の入り口は水中となるためコヨーテやクズリ、イタチなどの天敵が安易に近づけないように作られています。
ビーバーのメスは3カ月程度の妊娠期間を経て、1回の出産で1~6匹の子供を産みます。
生まれた赤ちゃんビーバーは2週間ほどは母親に授乳され、生後2年ほどでは親から独立していきます。
川にダムを建設してしまう、森の木を片っ端から切り倒してしまうといったビーバーの生態は、川の流れをせき止めてしまいサケなど魚の遡上を妨げてしまうといったことや、森林破壊につながると危惧されていますが、
ビーバーが川をせき止めて池にすることにより、新たに水鳥が住みついたり、栄養分によって水草が育ったり、また栄養分を含んだ水が周辺に氾濫することにより草がよく生え草食動物たちが集まる、といったようにビーバーのダム建設によって結果的には豊かな生態系が作られているのです。
ビーバーの天敵は、コヨーテ、クズリ、ボブキャット、イタチ、テンのほか、ピューマやアメリカクロクマもビーバーが捕食されることがあります。
ビーバーの柔らかい毛皮は紳士の帽子「シルクハット」の材料となるため、多くのビーバーが乱獲され絶滅寸前まで生息数が減少してしまいました。
17世紀にはビーバーの毛皮をめぐって「ビーバー戦争」なるものも起こったようです。
こういった経緯により、カナダでビーバーが国獣として指定されるようになったようです。
その後アメリカビーバーは保護政策が進み生息数は回復していますが、開発による生息地域の減少などによりヨーロッパビーバーの生息数は激減しており、絶滅危惧種としてレッドリストに登録されています。
今回は、ビーバーがダム建設をしている様子の動画をご紹介したいと思います。
木の皮をバリバリと食べる食事の様子や、太い木を切り倒す強靭な歯の力、またダム建設による自然のエコシステムの構築などがわかる動画となっています。